ヴォールトのあるコートハウス

Courthouse with vault


 この家は、若夫婦の家です。

 建築地は、古代文化の地「明日香村」。

「石舞台古墳」南に位置し、民家と棚田の残る美しい農村地にあります。

 

 敷地は、山間であるため日暮れが早く冬の冷え込みは厳しい加えて主要採光の南側には、3mを超える石垣の上に二階建ての隣家が建ち、見下ろされているような圧迫感を受けていました。

 元々の家は「大和づくりの民家」、大きな門と納屋、塀を用いて中庭を囲うように建物を配置した「かこい造り」としていましたが、見下ろされる視線までは防ぎきれていませんでした。

また、敷地の奥には畑があり、「通り庭」で中庭と繋がる先祖の生活が色濃く残った家でしたが、45年前の主屋の建て替えで「通り庭」がなくなり、敷地の奥の畑を有効に使えていない状況になっていました。

 

 当初より建築主は、南の見下ろされる視線を遮りプライバシーとセキュリティ―が高く保たれる近代的な「コートハウス」を考えていました。

 見下ろされる南面は二階建てのガレージ棟とし、高さとボリュームのある建物とすることで、隣家の視線を遮りました。

 また、住居棟は平屋建てとし、「通り庭」の代わりに、敷地内に車の通れる小さな通路を設け、敷地の奥の畑が有効に使えるように戻しました。

 

 リビングの天井は、「ヴォールト」とし、大きな薪ストーブを中心に置き、山間の厳しい環境から、温かく包み込むような、柔らかな室内空間としています。


所 在 地  : 奈良県 明日香村

家族構成 : 夫婦

構造規模 : 住宅棟 木造平屋建て/車庫 木造2階建て

床 面 積  : 144㎡ (住宅棟 92㎡/車庫 52㎡) 

竣     工  : ―

施     工  : ―