彼女の小さな家
Her little house
この家は、一人の女性のための小さな家です。
女性が一人で住んでも安心して過ごせる住環境を整えることに、特に注意を払いました。
プライバシーやセキュリティに十二分に配慮し、海外出張などで、生活リズムが不規則になりがちな彼女が、昼間でも心と体を休められるよう、彼女の生活スタイルに沿った、きめ細やかな設計をしました。
家の配置は、日照を確保するため、北側の道路に家を寄せ、南に広い庭を設けました。
しかし、北側道路は、駅近くの交通量の多いバス通りであったため、通勤時間には渋滞が発生し、騒音と共にプライバシーを保つことが難しい環境でした。
そこで、家と道路の間に、高い塀で囲まれた北庭を設け、騒音とプライバシーの干渉空間としました。
また、この干渉空間は、道路から家の中に入るまでのアプローチとして重要な役割を果たします。
道路から植込を抜けてアルコーブに入り、門扉を通って玄関のある北庭へと続きます。家に入る前にいくつかの塀や緑に囲まれた小さな空間を経ながら、プライバシーとセキュリティを段階的にあげることで、社会的な空間と私的な空間を柔らかく繋ぎ、彼女の住環境を守っています。